受取配当金の税務
税務上の取り扱い
受取配当金は、益金不算入
解説
概要
法人が他の法人の株式を所有し、その株式に係る配当を受け取った場合には、企業会計上収益に計上される。しかし、法人税法上は、一定の申告手続きを要件に、一定の配当等については益金の額に算入しないこととしている。
これは、配当を支払った法人ですでに法人税が課税されており、さらにその配当を受け取った法人において課税をすると、二重課税となってしますため、これを排除する趣旨から設けられている。
範囲
益金不算入の適用を受ける受取配当等とは、利益の配当(中間配当を含む)又は剰余金の分配等をいうが、具体的には次のようになる。
区分 | 益金不算入となるもの | 益金不算入とならないもの |
---|---|---|
利益の処分 剰余金の分配等 |
・利益の配当(中間配当を含む) ・みなし配当 ・名義株の配当 ・出資に係る剰余金の分配 |
・外国法人、公益法人など人格のない社団等から受ける利益の配当等 ・協同組合等の事業分量配当金 |
投資信託の 収益の分配等 |
・証券投資信託(公社債投信及び外国投信を除く)の収益分配金のうち、内国法人から受ける一定の金額 |
・公社債投信の収益分配金 ・貸付信託の収益分配金 |
株式等の種類
配当の基因となる株式等の種類に応じて、益金不算入となる金額に違いがある。株式等は以下のように分類される。
完全子法人株式等 | 配当等の額の計算期間を通じて配当支払法人と配当受取法人との間に完全支配関係があった場合のその配当支払法人の株式等 | 完全子会社からの配当 |
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関係法人株式等 | 配当受取法人が、配当支払法人の発行済株式総数の25%以上を、配当等の額の支払に係る効力が生ずる日以前6ヵ月以上保有している場合のその配当支払法人の株式等 | 子会社株式からの配当 |
その他の株式等 | 完全子法人株式等及び関係法人株式等のいずれにも該当しない株式等 | 証券投資信託の収益分配金 |
益金不算入となる金額
配当の基因となる株式等の種類に応じて、益金不算入となる金額に違いがある。
完全子法人株式等 | 全額 |
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関係法人株式等 | 関係法人株式等について受ける配当等の額 - 負債利子の額のうちその株式等に係る部分の金額 |
その他の株式等 | (その他の株式等について受ける配当等の額 - 負債利子の額のうちその株式等に係る部分の金額)× 50% |
※負債利子の額のうちその株式等に係る部分の金額は、原則法又は簡便法により計算する。