キャリアアップ助成金の申請・受給条件
キャリアアップ助成金の申請・受給条件
助成金の申請・受給条件は、大きく2つに分類されます。
1.事業主(企業・個人事業主)が満たしていなければならないもの
2.対象となる従業員が満たしていなければならないもの
そして、
その2つとも満たして、初めて、
助成金申請のスタートラインに立つことができ、
取り組んだ後に、助成金の受給が叶うことになります。
では、
キャリアアップ助成金の
それぞれの申請・受給条件をみてみましょう。
すべての条件を確認していくには、
ここでは情報量が大きすぎてポイントがわからなくなるので、
「正社員化コース」⇒「有期→正規」
の重要箇所のみを抜粋し、解説をしていきます。
キャリアアップ助成金「正社員化コース」⇒「有期→正規」の申請条件
「キャリアアップ助成金を受給するに当たって」
支給対象事業主(全コース共通)
キャリアアップ助成金全体に共通する事業主の受給条件
1.雇用保険適用事業所の事業主であること
雇用保険設置届が届出済みの企業・個人事業主であることという意味
2.雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること
この助成金を整備、遂行、管理する責任者を任命・配属している企業・個人事業主であること
3.雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であること
この助成金の申請書とも言えるキャリアアップ計画書を届出済みの企業・個人事業主であること
4.該当するコースの措置に係る対象労働者に対する賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備している事業主であること
雇用契約書や労働条件通知書、給与明細、賃金台帳出勤簿等の管理運用が適正になされている企業・個人事業主であること
5.キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ
事業主であること
キャリアアップ計画書に記載した任意の期間の中で、正社員転換化に取り組んだ企業・個人事業主であること
疑問点
さて、ここまで読んでちょっとおかしいな?と思いませんか。
厚生労働省が発行したこの助成金の案内には、
申請条件よりも先に、
助成金に取り組んだ後に位置する
受給条件について記載されている。
受給条件をもう一度見てみると、
受給条件には、
申請前から算段しておかなければならない事案も
含まれていることがわかります。
つまり、
それが満たされないまま気づかずに、
申請をして、
取り組んで、
いざ助成金の申請をしたら…
助成金を受け取れない、
となってしまいます。
キャリアアップ助成金「正社員化コース」の定義
次に13ページ、「正社員化コース」の前文(定義)を見てみます。
この定義に従って取り組むことが大前提ということ。
1.就業規則または労働協約その他これに準ずるものに規定した制度に基づき、有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合に助成します。
アルバイト、パート、契約社員等を正社員にした場合に限り助成金が支給されますという意味
助成金の対象となる従業員の条件が8つに分類されて記載。
1~8 の条件すべてに該当した労働者のみが申請の対象!
1.次のいずれかに該当する労働者であること
支給対象事業主に雇用される期間が通算して6か月以上の有期契約労働者
今の会社に雇用されて6ヵ月以上の有期契約労働者。
但し、間に6ヵ月以上の空白期間があるときは、空白期間以降からの雇用期間として計算する
支給対象事業主が実施した有期実習型訓練を受講し、修了した有期契約労働者等
有期実習型訓練という助成金があり、これを受講した労働者は、有期の期間を6ヵ月間から3ヵ月に短縮
2.正規雇用労働者等として雇用することを約して雇い入れられた有期契約労働者等でないこと。
雇い入れる際に、「いずれ正社員にするから…」と、正規雇用化の約束していない、されていない従業員であること
3.当該転換日または直接雇用日の前日から過去3年以内に、当該事業主の事業所において正規雇用労働者として雇用されたことがある者
正社員になる日の前日から遡って過去3年以内に、今の会社で正社員として働いていた経歴がない従業員であること
4.転換または直接雇用を行った適用事業所の事業主又は取締役の3親等以内の親族以外の者であること
これを見落としている企業、意外に多いので要注意です。
5.転換日または直接雇用日の前日から起算して1年6か月前の日から当該転換日、または直接雇用日の前日から起算して6か月前の日までの間(以下「基準期間」という。)において、支給対象事業主と資本的、経済的、組織的関連性等から密接な関係などにある事業主に以下の雇用区分により雇用されていなかった者であること。
<雇用区分>
a 正規雇用労働者に転換または直接雇用される場合正規雇用労働者として雇用
社員になる日の前日から遡って6ヵ月前の日から1年6ヵ月前の日の間において、関連会社で正社員として働いていた経歴がない従業員であること
6.支給申請日において、転換または直接雇用後の雇用区分の状態が継続し、離職していない者であること。
これもとても重要です。
取り組んだ後の「支給申請」の時点で、正社員としての雇用条件が守られていて、また、該当の従業員が退職していないこと
以上、
「支給対象事業主」の受給条件、と「対象となる労働者」の申請条件、でした。
次回は「対象となる事業主」の申請条件について解説をします。