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運営:八王子・立川の上田洋平税理士事務所【会社設立・資金調達・起業支援の専門家】

経営者なら知っておきたい助成金の基礎知識

助成金申請の前に考えておくこと

本日は、助成金全般についての基礎知識をまとめてみました。

厚生労働省の狙い

表現は良くないのですが、
助成金の出どころである
厚生労働省としては、

雇用保険の財源で
労働基準法だけではなく、
安全衛生法や年金法など
広範囲に亘って、

雇用環境の整備が十分ではない
多くの企業に対し、

助成金という人参をぶら下げて、
働く環境の整備を推し進めたい。
正社員を増やしたい。

従業員が不安を抱くことなく
安心して長く働ける職場環境を創り、
雇用の安定を図りたい。

当然ながら
そう意図しています。

雇用環境の整備が
十分ではない会社が非常に多い、
今の状況のままでは、
失業手当を支給し続けても、
失業者が増えることはあっても
減ることはない。

それならば、
会社を辞めてからの領域ではなく、
在職中のところに多く注いではどうか。

雇用環境の改善につながれば、
定着率が上がる。

定着率が良くなれば
失業者が減る。

失業者が減れば、
失業手当の支出が減る。

一方で、
労働人口が増えれば、
雇用保険財源が潤う。

その財源を、
より多くの助成金として支給できる。

更に雇用環境が改善されていく・・・。

普及浸透がどこまで
実現できるかは別といしても、
やはり目指すべき循環と同意します。

雇用環境の改善に取り組んだご褒美
という形の助成金で支給して、
企業にも従業員にも喜んでもらう方が効果的。
そもそも本来そうあるべきではないか…。

ここ数年、その方向性が年々強くなっており、
今後もその傾向は変わらないと思われます。

助成金のメリット

メリットを整理しておくだけで、
1.申請条件
2.準備するもの
3.取り組み方
の大よそを把握できます。

更にそれらを把握して進めることで、
4.目的が明確になり、
5.活動の無駄を省け、
効率の良い取り組みができます。

その結果として、
6.雇用環境が整備され、
7.従業員のモチベーションは向上し
8.助成金を受け取れる

波及効果として
9.定着率の向上
10.正社員の増加
11.売上アップ
12.良い人材が集まってくる
13.人件費の低減
など、様々な相乗効果を
期待できるのが、
助成金の大きなメリットです。

助成金申請の動機

助成金に取り組む動機として
「従業員のために労働環境を良くしてあげたい」
「定着率を上げたくて」
という助成金の主旨に則した理由で
相談に来られる方よりも、

実際には、

もらえるものはもらっておきたい…
自社で申請できるのがあれば何かやってみたい…
ハードルの低そうなのがあれば…
支援があればなんとかなるかもしれないと思って…

というケースの方が、
圧倒的に弊社では多いです。

「もらえるものはもらっておく」
弊社も全くその通りと認識しています。

助成金への初めての申請は、
その動機で十分立派でしょう。

しかし一方で、
補助金も助成金も、
良心的ではない
コンサル会社などからの
質の低い情報が増えたこともあり、

「助成金は欲しいけど関わる時間がない。
金は払うから丸投げで全部やって…。」
「簡単で確実に取れる助成金を丸投げで…」
といった補助金・助成金の主旨から逸脱した
「丸投げ」の依頼が増えてきています。

丸投げの依頼となると、
もはや支援ではないため、
弊社ではお断りしせざるを得ません。

メリット

助成金の3大メリットは
1.返済が不要
融資ではないため返済義務はなし
2.使い道が自由
飲に行く、社員旅行。蓄える。備品購入等
3.使途の報告が不要
補助金のように、いつ何にいくら使ったか
の報告義務なし
なところ。

更に、
現金資産の観点で考えると、
設備投資以外の制度導入目的の助成金
が多く、それらに取り組んで受給できた分だけ
純粋に現金資産は増えることになります。

その場合、
助成金は、
売上がほぼそのまま「儲け」になります。

50万円の助成金。
金額だけ見れば小さいのかもしれません。

しかし、
人件費、設備費、家賃、宣伝費等を差し引いて、
最後に50万円の儲けを残すには、
一体いくらの売上が必要でしょうか?

リスクこそしっかり把握

助成金に取り組むとき、
弊社では、
助成金のおいしいところよりも、
伴うリスクをしっかりご説明する様
心がけています。

助成金・補助金には、
多くの制約、縛りがあります。
縛りだけならよいのですが、
それ以上にやっかいなリスクもまた伴います。

関心のある助成金・補助金について
申請する前に
リスクをしっかり認識しておくことが
確実に受給するという観点から非常に
重要だと考えるからに他なりません。

助成金でよく言われるのが、
業種や企業規模に関わらず、
労働条件通知書や雇用契約書、
就業規則、賃金台帳、出勤簿等々の
整備ができているか。

助成金の場合、
業務改善助成金のような
設備投資目的以外は、
制度導入が主体となるため、
導入した以上は
その後の運用義務が伴います。

それをリスクと捉えるのもどうかとも
思いますが、
助成金を受給した
その年度のみの制度実施で、
その翌年以降は全く運用していない
会社が数多く存在するのが実態です。

制度導入後も、
会社が運用を継続できるのかどうか
申請前に十分な検討が必要です。

この背景には、
厚生労働省の助成金施策は
基本的に労働者本位で作られていること。

また就業規則には、
一旦導入や改訂をした場合、
不利益変更が難しいという事情が存在します。

更に助成金は、
政府の意図する政策への誘導なので、
申請した会社がみな狙い通りに取り組み、
その制度導入や労働政策が普及できなければ、
それは窮屈な制度を敷いたことになります。

強いて例を挙げるとすれば、
女性の活躍関係の助成金でしょうか。

政府や行政機関ですら、
というよりも、
政府や行政機関の方が、
民間よりも、
全体に占める女性管理職の
比率が低い。

にも関わらず
民間企業に対して
「助成金を活用して女性管理職
の比率を上げなさい」
とはっぱをかけるのも少しおかしな
話だと思いますが。

申請・受給する助成金のことだけを
想定して作成、整備してしまうと、
経済的にも社会的にも、
会社は非常に痛い目をみる可能性、
リスクを伴います。

虚偽の報告で
受給したことが判明すれば、
必然ですが、
助成金の返金だけではすみません。
数年間に亘り、
助成金申請の権利を失います。

怖いのは、
それよりも、その先になります。
虚偽の申請・受給が原因で
はいった調査により、
雇用環境の不備が、
本部の知るところになれば、

労働基準監督署にも目を付けられます。
労働基準監督署の監査が入れば、
更に厳しいメスが入るのは
避けられないでしょう。

場合によっては
事業の継続が難しくなることも
十分に考えられます。

いい加減に取り組んだ場合には、
リスクは倍々で大きくなる。

助成金に取り組む際には、
会社と従業員のために、
メリットだけではなく、
リスクとの両面をしっかりと認識した上で、
取り組むようにしてください。

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