未成年者の取り扱いについて〜特別代理人〜
未成年者の法律行為
民法では未成年者の法律行為について、以下のように定めています。「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。」(民法5条1項前段)がその規定です。つまり、未成年者は一人では法律行為をすることができないということです。
相続人に未成年者がいる場合
相続が始まると相続人全員で遺産分割協議を行い、どのように遺産を分配するかを決めます。遺産分割協議はれっきとした法律行為です。したがって、相続人に未成年者がいた場合は、その未成年者は遺産分割協議に参加できないことになります。このような場合、どのように取り扱われるのでしょうか。
通常の法律行為では、その未成年者の親が法定代理人となって法律行為を行います。しかし、遺産分割協議の場合、未成年者の親自身も相続人の一人であるなどして互いの利益が相反する恐れがあります。(夫婦+未成年の子供という組み合わせの家族で、夫が亡くなった場合を想定するとわかりやすいでしょう。)
このような場合には、特別代理人と呼ばれる人を選任する必要があります。手続き自体はあまり難しいものではなく、親権者が家庭裁判所に申し立てを行うことで完了します。また、子供が相続の開始からすぐに誕生日を迎え成年となる、という場合には誕生日を待って遺産分割協議をすることもあります。
特別代理人とは
特別代理人とは、本来の代理人が代理権を行使することができない又は不適切な場合に、裁判所に申し立てて選任してもらう特別な代理人のことをいいます。この場合の特別代理人は、「相続権がないこと」が大前提で、それを満たしていれば親戚の人などでも構いません。ただし、遺産分割協議は公平であることが望ましいですし、専門的な知識のある人のほうが何かと安心ですので、弁護士や税理士などに任せることをおすすめします。
特別代理人を選任せずに遺産分割協議を行った場合
遺産分割協議を特別代理人も選任せずに行なった場合は、遺産分割協議は無権代理行為(権利がないものが代理人となって行なった行為)として、未成年の子が20歳になった後に遺産分割協議の内容を認めないかぎり無効となってしまいます。無効となってしまった場合は、遺産分割協議を再度ゼロからやり直さなければなりません。このようなことにならないためにも、未成年者が、相続人に含まれている場合はしっかりと特別代理人を選任し遺産分割協議書を作成するようにしましょう。
また、特別代理人の選任には通常、家庭裁判所に申し立てを行ってから1〜2ヶ月の期間をようします。あらかじめ時間に余裕を持って選任の申し立てをしてください。